2016年12月12日月曜日

途上国における医療支援、薬剤師の力量発揮です!

当NGOが2015年の5月から、てんかんの疑いでかかわっている女性がいます。

2003年からてんかんの大発作を起こすようになった女性で、子供のころはなにもなかったとのこと。
発作は1日に何回も起こるとのことで、タイやベトナムで調べてもらって、薬をもらっていました。

バルプロ酸200mg 2錠
フェニトイン100mg 2錠

を1日2回。

でも、発作は起こさないものの、眠気が酷く、フラフラするということで、とりあえず薬の品質の問題の可能性もあるので、日本の薬で同量で様子を見ることにしました。

すると、発作の回数がへり、調子がいいと思われていたが・・・半年ほどすると、手持ちが残っているというではないですか!

効くと、フェニトインを飲むとフラフラして眩暈が酷いので自分で減らしているが、減らすと発作も起きるので調節が大変・・・というのです!

雨森先生も、「高価な薬は続かないし、ずっと貼り付いて見ているわけにいかないから、とにかくバルプロ酸とフェニトインでコントロールしていこう」ということで、試行錯誤が始まりました。

バルプロ酸をデパケンRの徐放性に変更し、1日量を800mgから、400mgへ減らし・・
フェニトインを中止して・・・

フェニトインを中止すると、眩暈やふらつき、むかつきは無くなるが、卒倒する回数がなかなか減らないまんま・・・

2016年に入ってからは、デパケンR200mg 2錠分1のまま、毎月、3~5回の卒倒を繰り返しながら、でも、食事は食べれるし、眩暈はしない・・という状態を続けてきていました。

NGOの予算で、卒倒した時の頭の保護をする保護帽子も購入して、もっていきました。

すると、先月の薬剤師の先生方が訪問してくださったときに、
ふと、NGOの薬の箱にはいっていた柴胡加竜骨牡蠣湯が目につきました。
これ、どうでしょうかね~~
と薬剤師3人で相談・・・
牡蛎が入っているし、まあ試してみてもらおうか・・・ということになり、とりあえず・・という感じでお渡ししました。

すると、どうでしょう~~~!!!!
今月、訪問すると、ニコニコ顔!!
「奇跡!今月は発作が1回も起こらなかったのよ!!」というではないですか!?

こちらもびっくりです。

でも、途上国での場合、患者さんの説明が不十分だったり、生活環境が予想外なこともあり、医師の先生も日本で診察するようにはいきません。
また、日本で使えるような高価な薬を継続使用が必要な患者さんにぱっぱと使うわけにもいきません。
なので、今回は薬剤師としての力量をちょっと発揮できたケースだったのかなと思います。

医師や看護師だけの支援団体の場合は、おそらく「難治性のてんかんを疑う →日本での高度医療機器を使った検査を計画する →渡航費を稼ぐのにクラウドファンディングなどで寄付を募る →寄付を集めて日本で検査を受けさせる」という方向に行くケースが多いのではないかと思うんです。
でも、海外で検査を受けさせる費用というのは本当に膨大です。
特に途上国からの患者の場合は言葉の問題も大きく、日本側での通訳の費用もかなりかかります。
また、検査を受けて結果、高価な薬が必要と診断されてしまったらどうでしょう?
その団体で一生、彼女の薬を供給するだけの寄付を集められるでしょうか?
かなり困難なことだと思います。

こういう時に、「ある薬でどうにかできないか・・・考える」という点で、薬剤師の力量は発揮できるのではないかと思いますし、今回はそれを証明できた1つの事例になるんだと思います。

私も、ベテランの薬剤師の先生の助言がなければ、この漢方を選んでいなかったと思いますし、この事例は日本においても、今後薬剤師に求められる本当の意味での、健康サポート薬局の薬剤師として求められる能力の一つでもあるように思います。

しかし、まだ油断はできません。
またしばらく飲んで効かなくなる可能性もあるので、これからも毎月、様子を見ていこうと思います。

2016年11月27日日曜日

薬剤師の先生方にご参加いただきました!

11月にバンコクで開催された、アジア薬剤師会学会(FAPA)を終え、そのままカンボジアのシェムリアップに移動。

FAPAのバンコク大会の最後のdinner
大阪薬科大学の教授の発表のお手伝い
AYPG(Asia Young Pharmacist Group)の新しいメンバーカンボジアYPG(通称CYPG)によるLeadership Forumでプレゼンテーションをするため。

七海陽子プレゼンテーション@カンボジアYPGmeeting

で、そこにFAPAの現開局部会長(Community Section chairman) の曲渕先生と、前開局部会長の生出先生がカンボジア観光も兼ねて同行してくださいました。

さらに、そのセッションが終了後、プノンペンに移動し、当NGOの活動にもご参加いただけました!

不安そうに訴える患者さん。でも症状は結構軽い
実は、この生出先生、以前、当NGOが東日本大震災で残ってしまった寄付医薬品を引き受けさせていただけるきっかけとなった先生!

当時、ご寄附いただいた薬を活用させていただいている現状を見ていただくことができました!





左から;生出先生、七海、Ly Layhak, 曲渕先生


活動の後はいつものローカルランチ

2016年10月27日木曜日

歯科の先生登場!

さて、6月から報告が飛んでしましましたが、7月、8月ともに活動をし、9月はいよいよ雨森先生が来られる日!

患者さんもだんだん私たちの活動のスケジュールが分かってきたらしく、先生に会えるのを楽しみにしてる様子。

ところが!!

なんとなんと。
台風が先生の飛行機を阻んでしまい・・・雨森先生はトライするも、乗り継ぎの上海であえなく足止め。

結局、これませんでした。

でも、ここに素敵なヘルプが!

歯科の先生がいらしてくださったのです!

感動!!

みんな、歯科の検診なんてもう初めて。

歯が汚いから恥ずかしいとか
歯が抜けてかけてるからもういいとか(笑)

手で口を隠して、恥ずかしがること!

それでも、先生の検診を受けて、歯磨きをもらって。
歯を磨く習慣が、日本ほど根付いていないカンボジア。

歯科の活動も潜在的な需要があるものと思われます。

プライマリケアを続けていこうという私たちの活動にはぴったり!

先生、また次もきてください。











そういえば・・・だんだん保健センターが綺麗に。
ここ最近の与野党の攻防で、保健センターの予算がアップされたとのことですが、私たちの活動で保健センターの収入も増えているようで、備品がだんだんバージョンアップしてきていました。

嬉しい限りです!

2016年6月2日木曜日

2016年6月の健康診断活動


雨季に差し掛かってるはずなのに
なぜか晴天!(笑)

道路工事は進んでいるもの、相変わらず砂埃だらけ!
で、突然のガタガタ道!
車のサスペンションがキシキシと音を立て始めましたσ(^_^;)
帰りがちと心配




今日も出くわしました。ナンチャッテ超音波検査

腰が痛いと病院に行ったら
おきまりの腹部エコー
で、膀胱に異物があるとか
尿検査はしてない

で、処方箋を出したものの
薬局の人が判読できずに
薬はもらえず

私も
シプロ500とオメブラゾールは読めるが
それ以下は読めない

結局
54歳の女性で尿の出が弱く、回数が増えてるようなので、年齢的な理由も考えられるので、雨森先生が来られるまで、総合ビタミン剤、ポポンSで対応することになりました。




2016年5月6日金曜日

健康診断活動2016年5月


患者さんが「胃が悪い」といって受けたエコー検査の結果
毎年5月は当NGOの雨森医師が来てくださる月だったのですが、例の熊本の大震災で先生が被災地の支援のために多忙ということで、今月はいつも通り、薬剤師の七海だけでの実施となりました。

今回も出ました!
二か月前、当方で渡した健胃薬が無くなって、その後健康診断にこれなかった間に胃の調子が悪くなり、家族が心配するので近くの病院へ。
すると、血液検査とエコー検査をされて、「胃の中に異物がある」と言われたものの、薬もなく終了(笑)

薬が無かったのは良かったことかと思いつつも・・・
胃が悪いのに血糖を測ってどうする??

「胃が悪い」といって受けた血液検査の結果
まだ、ここは脂質やHIVなどの検査をしてぼったくっていないだけまし?

経済の発展が、公的医療システムができる前にすすんでしまっているので、
「医療行為で儲ける」概念はまだまだ続きそうです。

帰り道に出会ったヤギの群れ。牛は多いけど、ヤギは珍しい。お尻が可愛い♪

保健センターに行く国道5号線。半分ほどは舗装がされたものの、まだまだこんな道が多く、車にかかる負担も大きい。
健康診断に行った後は必ず車の修理が必要になっているここ1年です。
プノンペン市内にはいるとこんな感じ。で、これは警察の車・・といっても、カンボジアでは公私混同しているので、自宅の車がこのPOLICEのナンバー。「自分の家は警察職員がいるよ」という感じ。だからってどうよ!といつも思う。この車も結構高価ですよ~~。

2016年4月18日月曜日

被災地へ寄付医薬品を検討しておられる製薬企業様にお願いです

今回の震災で被害にあわれた方におかれましては、本当に大変な日々をお過ごしのこととお見舞い申し上げます。
余震も続いて、毎日不安を抱えていらっしゃることと思います。

さて、現時点では長期的な支援が必要であるとの見解もでているので、ここで私達NGO JHPAから医薬品やOTC,健康食品、衛生材料などの寄付を検討しておられる企業様へのお願いがあります。

実は、当NGOは東日本大震災の際に寄付をされた医薬品が夏ごろまで大量に残ってしまい、宮城県薬剤師会から余った医薬品を許可を得て譲り受け、カンボジアまでもっていった実績があります。
その経験から、寄付としてふさわしくない製品や包装形態などが分かってきましたのでここでお知らせしたいと思います。

<当時に残っていた製品の特長>

重い・・・1瓶が360錠入りなどの大きい製品でガラス瓶だった。
     液体の製品で段ボール1箱が重い


特徴のある製品・・・スプレー式。残った時の廃棄が大変。
            ゼリー状など特殊で味が分かりにくい製品
            使い方が難しい特殊剤型の製品

適応できる人が限られる製品・・・第1類医薬品。被災者の方に適応できるかの確認が難しい。
                    特定の年齢層に使われる商品やサプリメント類 (例:コンドロイチン配合のサプリ)


<被災地で利用しやすいと思われる製品の特長>

*パッケージサイズが小さめ。(小包装)
*適応年齢がある程度幅のあるもの。(乳児用は単独になることが多いが、小児と成人の両方が適応できる製剤がいい。)
*第1類医薬品よりは、2類や3類が使いやすい。(薬剤師も選びやすい)
*配置薬はとても使いやすい(小包装で、適応範囲が広く、カバーできる症状も広い)

寄付医薬品は現地の人が最終目的地まで運びます。
そのことも考え、重かったり、製品の数がバラバラだったりというとこがあまりないようにお願いしたいものです。